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幸田千依「今、絵のまえで会いましょう」(公開制作)

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|公  開  制  作|幸田千依「今、絵のまえで会いましょう」
|会    期|5月10日(水) -7月15日(土)  ※下記作家在廊日以外はクローズしていますのでご注意ください
|オープン時間|11:00-17:00
◯クロージングパーティー:7月15日(土)  19:00-21:00
会期中は、その他イベントの開催も予定しております。最新情報は本ページをご参照下さい。

作家在廊日(オープン日)


※ 在廊日やオープン時間は変更する可能性がございます。スケジュールをご確認の上、お越しください。
※ 公開制作の日程はカレンダーの通りです。


◯関連イベント『絵のまえで法螺貝ナイト!』
日時 2023年6⽉24⽇(⼟)
開場 18:00 / 開演 18:30【⼊場無料】
会場 LOKO GALLERY

イベント詳細はこちら : https://lokogallery.com/archives/news/2023_0607

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LOKO GALLERYでは5月10日より7月15日まで、画家・幸田千依による公開制作「今、絵のまえで会いましょう 」を開催いたします。

2007年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業以後、幸田は国内外の様々な土地や空間に身を置き、自身もその場所や人々の日常の一部となりながら絵をえがくことに向き合ってきました。
水や光、人物や群衆などの動きやエネルギーが対象モチーフとして多くみられる幸田ですが、
近年は家族と共に暮らす自宅兼アトリエをその活動拠点とし、窓からの風景を定点観測にも似た手法で日々切り取る実践も重ねられています。

自然を、街を、人々を「見る」という行為を通して生(せい)の文脈をえがき出す幸田の絵画には「見ること」の位相があり、自身の身体を通過して立ち上がるそのイメージの中では、内在する複数の視点と時空が互いに振動を与えながらも静かにせめぎ合い、生の力を表出させています。彼女が取り扱う、本来不均質で然るべきそれら異質な諸要素はタブローの中で不思議な均衡を保っています。幸田の絵画は従来のそれが見る者に要請する情報に必ずしも縛られることなく、鑑賞者それぞれが自身の生の経験を以って「見る」ことに開かれています。

2022年の府中市美術館に続き、ホワイトキューブでの公開制作となる今回、幸田はそのモチーフに動かない対象である静物を選びました。西洋絵画の一つのジャンルとして確立した当時、「Still Life(動かない命)」と蔑称されたこともあった静物画は、それまで西洋世界で主流であった宗教画からの開放でもあり、その後、画面上での複数の視線の交差や対象の解体と再構成といった現代に続く手法へと接続されてゆきました。

ギャラリー空間に設置されたテーブルには、一つ一つ所有者の異なる幾つかの物が並べられ、約2ヶ月間に渡る公開制作を通して、幸田はそれらの物(他者)と向き合い、一枚の静物画にしてゆきます。
彼女が絵のまえで過ごし出会い、また再会する人々と織りなす関係と時空は、一体そこでどのように重ねられてゆくのでしょうか。

 


 

作家ステートメント

作品をつくり始めた2009年頃から、レジデンスなどで行く先々の場所を、その都度アトリエとして制作をしていた。古いアパートの廊下、廃校の小学校、商店街の空き店舗、ドヤ街の一室、廃業した銭湯、児島虎次郎のかつてのアトリエ、海辺、京浜島の鉄工所の中など。人の土地を間借りしている都合上、公開しながらの制作は当たり前だった。10年ほど続いた、今思うと不思議な全国武者修行のような制作スタイルは、自分の全てを公開し、出会ったものを受け入れていく期間であったと思う。

武者修行が一区切りついた2017年以降、私は住居兼アトリエを手に入れた。
これまで絵は描きに行くものであったが、一歩も外に出ることなく生活と制作ができた。
滞在制作を繰り返す中で絵の内容も変化してきたが、家に籠って描くことでまた、絵の内容も大きく変化した。その後出産したり、コロナ騒ぎが始まったりして、ますます家で絵を描く暮らしが続いていく。
もはやハレとケの境目はなく、子育て、食べること、畑を耕すことなどと同じように絵を描くことが私の生きる道を織り成している。
そういう暮らしの中で、改めて今「公開制作」をしたいと思う。
ちょうど10年前に「Focusing on everything / 絵のまえで会いましょう」というタイトルの個展を、今はなき横浜のBankART NYKで開催した。10年経って、暮らしも絵の内容も世界の様子も大きく変わったけれど、私の中で「絵のまえで人と会う」ということの重要さは変わらないどころか増しているように思う。
公開制作によって、まだ見ぬ土地や人と出会えるかもしれないこと。懐かしい人と再会できること。自分の風通しを良くして、何が起きてもそこから大切なものを見つけ出す愉しみ。それらが今や、私の世界の受け入れ方そのものに近くなっているから。

よく、人がいて絵を描けるの?と聞かれることがある。描ける。沢山の家族がいる居間で毎日の宿題をするような感じだろうか。公開制作をしているときに感じている世界は、そういう普通さがあると思う。

みなさん、今、絵のまえで会いましょうね!

幸田千依

 

 

ARTIST PROFILE: Chie Koda