EXHIBITIONS
佐々木成美「●」
- Information
- Works
- DATE
- 2021-04-09 [Fri] - 2021-05-09 [Sun]
- OPEN TIME
- 11:00-19:00［Wed-Sat］ 12:00-18:00［Sun］
- CLOSE DAY
- Mon, Tue, National holidays
この度LOKO GALLERYでは、画家・佐々木成美による個展「●」を開催いたします。2019年の個展テーマであった「向こう側」について、さらに推し進めた新作を発表いたします。
本展覧会のタイトルである「●」には、穴のイメージと天体のイメージが重ねられています。その図像には、洞窟、集合的無意識に存在するアーキタイプ（元型）や、またそこへリンクするまでの意識の経路が込められています。前回と同様に絵画を主としながら、石や木などといった異素材とのコラージュ的な手法は踏襲しており、作品は見る者に超越的なものの存在を仄めかそうとしています。
また今回は、佐々木のドローイングをまとめた小冊子の刊行を予定しています。ドローイングは彼女にとって、「場所からイメージをそのまま正確に掬いとる行為」なのだといいます。
「コール。ここには予感がある。しかしまだ何もない。それをただ受け入れている。」
佐々木成美
佐々木成美 ドローイング集「●」が完成いたしました。1冊3000円（税込）にて販売しております。ギャラリーにて直接ご購入頂くか、オンラインからでもご購入頂けます。
サイズ：210×283mm
仕様：24ページ、フルカラー
内容：ドローイング16点、対談：佐々木成美（画家）× 渡辺真也（美術史家）
ARTIST PROFILE: 佐々木成美
この遠くにある部屋ではむかし、二人の人間が生活していて、一匹の猫もいた。この猫は飼い猫ではないのだが、しょっちゅうそこへ行っては何か食べものをもらっていた。また二人の人間は愛しあっていたが、体は二人とも女の形をしていたので、交わっても子を作ることはなかった。
この遠くにある部屋には一つだけソファがあり、二人はいつもそこへ座って会話をしていた。二人は喧嘩をした事はなかったが、相手の悲しみへ共感するあまり互いに苦しく辛くなる事が度々あった。相手の職場であった理不尽なこと、相手の考える政治的な問題、相手の親の不幸、そのすべてが互いに完全に共有できるものだった。
この遠くにある部屋にはドアがなく、ドアがないので二人の人間と一匹の猫はいつも窓から出入りしていた。 いつだったか一度だけドアを作る提案を誰かがしたが、計画だけ立てて流れてしまった。そんなことだから、部屋には来客者も窓から入れなければならず、その罪悪感から二人はあまり人を呼べなかった。》 2021、麻、綿、石、パステル、木炭、34×27cm
Narumi SASAKI《In this room placed somewhere distant, heat burns, making the space dry and warm. It must be raining today but tapping water is
what only refrains in this room.
In this room placed somewhere distant lived two human beings long ago: And a cat, too. It did not belong to the two although the
feline frequently visited their place and was fed. The two loved each other, however their bodies were in the form of female which
was the very reason they could not have a child albeit intercourse.
In this room placed somewhere distant was a sofa where the two would often sit and chat. They never fought each other, though
they sympathized with each other’ s sorrow so much it distressed their hearts.
Ridiculous episodes at work, politics, the misery one’ s parent has... Every one of them were something they could thoroughly share.
In this room placed somewhere distant, were no doors. Since they did not have a door, the two human beings and one cat would
always get in and out from the window. Some while ago someone suggested making a door, which never came through. The room
was such a place where visitors had to enter from the window. The two could barely invite others from sense of guilt.》2021, Hemp, Cotton, Stone, Pastel, Charcoal, 34×27cm［Photo：Kunihisa FUKUDA］
