EXHIBITIONS
木村萌「景色のまたたき」
- Information
- Works
- DATE
- 2026-02-27 [Fri] - 2026-03-28 [Sat]
- OPEN TIME
- 11:00-18:00[Tue-Sat]
- CLOSE DAY
- Sun, Mon, National holidays[Open: 3/20 Fri.]
⚪︎オープニングレセプション:2月28日(土)16:00-18:00
LOKO GALLERYでは、木村萌個展「景色のまたたき」を開催いたします。
2021年の「生地の庭」、2024年の「汽水域をなぞる」に続き、本展は当ギャラリーで三度目の個展となります。
木村は、透過性のある薄い綿布を支持体とし、ベトナムのシルクペインティングの技法を応用しながら、アクリル絵具や水彩を用いた絵画制作を続けてきました。光や空気を内包するようなその表現は、時間とともに移ろう風景や、曖昧な境界に身を委ねる感覚を静かに描き出しています。
本展では、これまでの絵画作品に加え、新たにパステルによるドローイング作品を発表します。描く行為そのものの揺らぎや、瞬間的に立ち現れては消えていく情景の「またたき」を本展にてご高覧いただければ幸いです。
“私は夜の街を歩いている。
軒先の様々なものが、街灯に照らされて、伸びた影を落としていた。
隣り合った影はつながり、たまには分断され、新しい輪郭を作る。
草木は風にゆれ、それに合わせて影も揺れている。
私はその様子を眺めながら、常々変化している判然としないこの輪郭が、本当の形なのではないか、と思いを巡らせた。
木村萌 ”
閾の絵画──真のリアリズムに向けて
木村萌の絵を見ていると、まさに世界というものは、このようなありかたをしているのだという確信を強くする。
かつての作品では、積み木を思わせる幾何学的なかたちの木片や「ドウ」と名づけられた不定形な粘土の塊など、抽象的な形体を配置もしくは構成したモチーフを写実的に描いていた。描かれた対象が「何であるか」よりも「何に見えるか」という問いを喚起するのは、客観的な実在よりも主観的な観念に重点を置くためか。あるいは、木端に「直接」描いたり、木枠が透けて見える半透明な綿紗に描いたりするのは、物質と現象の一致を目指すからだろうか。目の粗い薄織の経糸と緯糸のパターンは、モダニズム的な方眼(グリッド)を想起させるよりも、むしろ──写真に撮ろうとすると特に──モアレを生じさせ、イリュージョンを強化する。波打つ縞模様は、その語源どおり、支持体の木目と重なり、そういう物なのか、それとも一時的な幻想なのか、もはや分からない。
いずれにせよ、慧眼の画家の制作に通底しているのは、物体の上にイメージが成り立つという通念に対する疑問である。たとえば、「画像はイメージです」という慣用句は、虚飾されているという意味であれ、虚構であるという意味であれ、いま見ているものは「実物」ではないという前提に立っている。絵というのも何か(物)の再現であり、「本物」ではないとしたら、「リアル」な絵というのは「本物」にそっくりという意味でしかない。どれだけ「リアル」に描いたところで、絵は「実物」ではなく、イメージの背後には「本物」があると思われてしまう。「見る」ことと「ある」ことの構造について、よくよく考えれば考えるほど、見た目の裏に本性を想定して、二元論へ陥っていく。
果たして画家は、描く対象を自ら組み立てることをしなくなった。作品の形式も薄弱さを極め、光や風といった環境的な要因によって影響を受けやすく、一定でないイメージは、かりそめの現象であるという印象を強くする。何らかの姿、形として見えるものは、実のところ空虚である。そこに物があるのか、そう見えているだけなのか、いよいよ分からなくなってくる。顔料よりも染料のようなしかたで使われる絵具は、画面の上に乗るのではなく、浸透し、一体化する。そこには表面も裏面もなく、その境界だけがある。私たちの視線を半分はこちら側に反射し、もう半分は向こう側に透過する、半透膜のように。
木村萌の絵画は、物の再現ではなく、真の意味でリアルである。矯めつ眇めつ見れば見るほど、「背後」には何もなく、いま見ているものが全てだと確かめさせてくれる。見ているから「ある」のであり、見ていなければ「ある」とは言えない。主客という概念こそが幻想である。まさに木村の絵がそうであるように、彼岸と此岸の前線として、世界は存在しているのだ。
飯盛 希(美術批評)
木村萌 Moe KIMURA CV
1992年 埼玉県生まれ
2017年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2018年 ベトナムにてシルクペインティングの技法を学ぶ
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科油画技法材料研究室 修了
Solo Exhibitions
2026年「景色のまたたき」LOKO GALLERY(東京)
2024年「space key」GALLERY VALEUR(愛知)
2024年「汽水域をなぞる」LOKO GALLERY(東京)
2024年「ふきよせ」Luftalt(東京)
2022年「漂着点」JINEN GALLERY(東京)
2021年「生地の庭」LOKO GALLERY(東京)
Group Exhibitions
2025年 FACE選抜作家小品展2025(グループ展 / REIJINSHA GALLERY / 東京)
2025年 蒹葭苍苍-The eastern poetics of translucent medium painting-(グループ展 / SoART GALLERY / 上海)
2025年 ファインディング・ファンタスティック・ファンデーション(グループ展 / SNOW gallery / 東京)
2023年「grid2」biscuit gallery(東京)
2022年「時の聲」旧田中家住宅(埼玉)
2022年「オリオンベルト、あるいはからすき星」HB.Nezu(東京)
2020年「神山財団 第6回卒業成果展」AXIS Gallery(東京)
2020年「いい芽ふくら芽選抜展」名古屋松坂屋(愛知)
2019年「天空の芸術祭2019」(長野)
2018年「short short」東京藝術大学 Yuga Gallery(東京)
Art Fairs
2021年「ART TAIPEI 2021」世界貿易センター(台北)
2021年「DELTA 2021」シーサイドスタジオ CASO(大阪)
Award
2025年 face2025(入選 / SOMPO美術館 / 東京)
2020年「東京芸術大学修了作品展」帝京大学賞
2020年「神山財団 第6回卒業成果展」大賞
2019年「いい芽ふくら芽」優秀賞・アートコレクターズ賞
Public Collections
2020年 帝京大学
2020年 一般財団法人神山財団
2017年 みなかみ町
アーティストWEBサイト
https://arumik305.myportfolio.com/work
Instagram
@moe7600
ARTIST PROFILE: 木村萌