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森夕香・戸張花「internal←→external」

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日本画家・森夕香と彫刻家・戸張花による2人展を開催いたします。独自の身体感覚を絵画で探求する森と、細密かつ重厚な鉄の彫刻を追求する戸張。一見すると異質な組み合わせですが、その作品に深く接していくと思わぬ共通点が浮かび上がってきます。

2人の作品を考えるキーワードの1つに“境界線”が挙げられるかもしれません。森が「自然と人間」「自分と他人」といった様々な事物が持つ境目への意識をなくしていくことを理想とする一方で、戸張の制作では「目に映る部分と隠された部分が共存する表裏一体の関係性」が大きなテーマになっています。境界線の超越、もしくはその内外の融合といった志向性は2人に通底するものです。

あるいは使用する素材へのこだわりや、それを選択する理由を比べてみるのも興味深いでしょう。熱によって変形し、時とともに錆び朽ちていく鉄の性質に、戸張は「自然の流れ」 を見出します。「自然のように人の心を動かす作品」を目指す彼女にとって、溶接を重ねていく長い制作過程は不可欠なものです。他方で森は「心地よい実感のある絵肌」を求め画材を選択します。日本画の美人図が持つ、触れたくなるような肌の表現。油彩特有の湿度感や温度感。「五感の記憶を刺激する絵画」を生み出すべく、森は作品によって画材を柔軟に変えていきます。異なるジャンルでありながら、自らの深い実感に基づき素材の選択と制作を行っている点で、彼女たちは密接にリンクしているといえるでしょう。

意識と感覚、自然と人間、絵画と彫刻……2人の作品に深く触れることで、さまざまな境界の内外を行き来し、新世代のアートの一側面が軽やかに照射されるような展覧会となれば幸いです。

[オープニングレセプション]
9月7日(水)18:00 –

ARTIST PROFILE: 森夕香 戸張花

森夕香 Yuka MORI《それでしかない体と離脱可能なマインド》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 2040×1150 mm・2040×1150 mm [photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《最初の雨にふられる》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 333×242 mm[photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《爽やかな悲》 2016 / 麻紙・膠・岩絵具・水干絵具・胡粉 / 606×727 mm [photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《爽やかな苦》 2016 / 麻紙・膠・岩絵具・水干絵具・胡粉 / 606×727 mm [photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《風呂場の幽霊は私》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 333×242 mm[photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《朝シャンと事件》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 333×242 mm[photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《シャワー室の効能》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 333×242 mm[photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《没》 2016 / 麻紙・岩絵具・水干絵具 / 727×606 mm [photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《離れてみる》 2016 / キャンバス・天然白亜・顔料・膠・油絵具 / 910×1167 mm [photo:Masaru YANAGIBA]
森夕香 Yuka MORI《思考 - 足》 2016 / キャンバス・天然白亜・顔料・膠・油絵具 / 910×1167 mm[photo:Masaru YANAGIBA]
戸張花 Hana TOBARI《MASS》 2014 / 鉄 / 1100×1100×1100 mm
戸張花 Hana TOBARI《NEXUS》 2015 / 鉄 / 1160×745×870 mm