平松麻「種まきの地図」

2019年11月8日(金)- 11月30日(土)

 

[オープニングレセプション]
11月8日(金)18:00 ‒

 

[火 ‒ 土] 11:00 ‒ 19:00
[日・月] 休廊

画家・平松麻による個展「種まきの地図」を開催いたします。

平松は一貫して、自らの“体内”に存在するという静謐な風景を、油絵具の積層・掘削・研磨から成る重 厚な絵肌の上に描いてきました。その作品の多くは、1枚の画中に主役となるモティーフを1つ描く、というミニマルな形態をとってきたといえます。選ばれる画題は雲や土、窓や棒などさまざまですが、いずれの作品も共通して、時間が静止したかのような荒涼とした世界の気配を纏ってきました。同時に各作品はあくまで1ピースずつ完結 / 独立した佇まいを持ち、それぞれの絵画世界を単一的に示してきたともいえるでしょう。

ところで、平松にとって体内で観た風景を1つずつ描き起こしていく行為は、自らの知っている土地の面積を拡張し、“地図”を更新していくような機能を持っています。そしてこの1年余りにおける彼女の制作= 土地の探索における大きな変化は、従来のように新たに発見した風景や物体を描くだけではなく、時には自らの訪問の印をそこに描き加えるようになったことです。今回の出品作の中では、棒と岩のあいだを結わいた縄や、大地に撒かれた大量の種などがその“自らの印”にあたります。また風景に対する画家自身のそうしたコミットメントの発生と並行して、1枚の絵が持つ視野は以前よりも伸展し、より広範な 空間が画中に収められるようになってきました。そこに現れ始めた植物や食物といった有機的なモティーフや明るい色彩は、体内の土地を耕しながら内奥に進んでいく感覚の象徴といえるかもしれません。

今回の展覧会では、そうした豊穣の予感ともいうべき新たな気配に満ちた彼女の最新作品群を、マッピングしていくように配置し、その世界の“地図”を示すことを目指します。これまで単一的に存在してきた作品を相関的なインスタレーションとして展開することで、豊かな広がりを孕み始めてきた作品世界 を体系的に提示する試みです。これまでの“地図”と地続きにありながらも、さまざまな新しい萌芽を見 せつつある現在の平松の作品をお楽しみいただければ幸いです。