木村彩子「部屋の中 部屋の外」

2019年9月3日(火)- 9月28日(土)

[オープニングレセプション]
9月6日(金)18:00 ‒

[火 ‒ 土]11:00 ‒ 19:00
[日・月・祝]休廊

画家・木村彩子による個展「部屋の中 部屋の外」を開催いたします。展覧会での作品発表のみならず、新聞や書籍の装画も手がけるなど幅広い領域で活動を展開している木村ですが、LOKO GALLERYでの個展は今回が初となります。

木村は一貫して、植物を中心とする身近な自然環境を絵画のモティーフとして扱ってきました。その作品の多くは、綿布の上にアクリル絵具や数種類のメディウムを用いて複層的な下地を構築し、蜜蝋を混ぜた油絵具で透明感に溢れる植物の姿を描写していくことによって生み出されています。また多くの場合、描画の際には自身で撮影した植物の写真が参照されてきました。独自の質感を持った画肌の上で鮮やかな色彩や線描が動的な生命力を放つ一方で、写真由来の静的な瞬間性もが同居する画面は、彼女の代名詞といえるでしょう。

その一方で、木村はその制作手法を少しずつ変化させてもきました。本展の出品作には、写真をベースにした従来のシリーズの他に、屋外に身を置き周囲の自然環境を描き上げた作品や、室内から窓外の風景を観て描いた作品などが含まれています。こうしたいくつかの新たな試みは、制作に新展開をもたらすために捻出されたというよりは、昨年彼女が転居した佐賀県の豊かな自然や、新しい居住環境によって自ずと発生してきたものです。そうして生み出された絵画たちは、これまでの木村作品に通底する気配を纏いつつも、これまでには見られなかった絵画表現を宿してもいます。

異なる制作過程を経て仕上げられ、異なる表情を持つに至った諸作品を並置すると、草花や日常風景といった共通のモティーフを扱いつつも、画家の視線や意識の位相に明確な変化が起こっていることが見てとれます。そこからは単なる鮮やかさや生命力といった言葉では把捉しきれない、不定形な自然の息吹と、それとシンクロする作家の鼓動が多角的に現れてくるかのようです。木村の画中に現れるそれらの差異や変化はとても自然的であり、環境によって生態を変え繁茂していく植物のように、彼女の絵画もまた流動的かつ自生的な体系を有しているといえるかもしれません。

外界と呼応しながら自身の絵画表現を探求し続ける木村彩子の、最新作品群をお楽しみいただければ幸いです。