ヴィレ・アンデション
I CAN’T GO ON. I WILL GO ON.

2018年9月28日(金)‒10月27日(土)

[火 ‒ 土] 11:00 ‒ 19:00
[日・月・祝] 休廊

 

[オープニングレセプション]
9月28日(金)18:00 ‒

[アーティストトーク]
9月28日(金)19:00 ‒

 

“燃えさかる太陽と全てを吹き飛ばす嵐の只中、砂漠にもわずかな植物が存在した。その小さな花々は儚くとも、
純粋で絶対的な生命そのものだった。” -ヴィレ・アンデション

昨年、アメリカ・ニューメキシコ州の砂漠でアンデションが撮影した一枚の写真がこの展覧会の出発点となりました。“ホワイトサンズ” 砂漠は、地球に近い小惑星を観測する”リンカーン地球近傍小惑星探査(=LINEAR)” の拠点であり、1945年に人類史上初めての核実験が行われた場所でもあります。時間や場所の感覚を失わせる真白な砂の光景は、アンデションにとって、空白がもたらす”不在”そのものについてだけではなく、過去に存在したものや、未来に存在しうるものについての思慮を促すものでした。 そのアイデアは、幾度も日本を訪れた作家が影響を受けたという”細部への意識” や”間” といった概念を取り込み、 そしてニューヨークの The Watermill Center でのレジデンスを経てブラッシュアップされ、本展の東京での開催に至ります。

展覧会を構成するモノクロームの風景イメージは、まるで記憶の中から再現され、作家の手にかかることで消失を免れているかのようです。もう一方の構成要素である人体と顔は、アンデションが「デジタルスカルプチャー」と呼ぶ手法、つまり平面に出力された 3Dモデリングソフトによる仮想空間での彫刻、そしてインクと鉛筆によるドローイングによって描き出されます。性別のない、しなやかな身体は激しく動いているようで、同時に静止しているようにも見えます。アンデションの作品は動と静、具象と抽象、有機と無機のあいだを行き来します。 そして繊細なニュアンスや抑えた色彩、存在の儚さ、 疎外感など、様々な要素を組み合わせ、相互にリンクさせます。

展覧会タイトルはノーベル賞作家サミュエル・ベケットの小説 “Unnamable” (邦訳:名づけえぬもの) の最後の 一節 “you must go on, I can’t go on, I’ll go on.” (つづけなくちゃいけない、つづけることはできない、つづけよう) から採られました。アンディションによれば、このマントラのような句は悲劇的であると同時に喜劇的な状況をあらわしています。ベケットの作品では主体と客体の境界線が消失し、存在の同一性が否定されますが、その引用は、かつてなく流動的で多元的な現代社会を生きる人間の姿を暗示しているかのようです。

 

ヴィレ・アンデション
1986 年 フィンランド ロヴィサ生まれ。ヘルシンキ在住。2012 年フィンランド芸術アカデミー修了。2015 年、フィンラ ンドの若手芸術家に贈られる最高賞 Young Artist of the Year を受賞した。アンデションの作品は、多様なメディアと方 法論により制作され、美術史と現代社会の問題の双方に接続する。EMMA-Espoo Museum of Modern Art( フィンランド , エスポー ) や国立新美術館 ( 東京 ), Vitraria Glass + A Museum(ヴェネチア )、Museum Weserburg( ドイツ , ブレーメ ン )、The Centre for Photography( スウェーデン , ストックホルム )、FOMU-Foto Museum( ベルギー , アントワープ ) 等で展示。2018 年には The Watermill Center( アメリカ , ニューヨーク ) のレジデンスアーティストに選ばれた。近年の プロジェクトにはフィンランド郵便公社の切手、テーブルウエアのデザイン、舞台美術や公共施設のアートディレクションな ど も 含 ま れ る。ア ン デ シ ョ ン の 作 品 は、Kiasma Museum of Contemporary Art、Saastamoinen Foundation Art Collection、Amos Anderson Art Museum など、いくつかのパブリックコレクションに収蔵されている。