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宮崎啓太「逆さのバベル」

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ロンドンを拠点に活動する彫刻家・宮崎啓太によるおよそ7年ぶりの日本での個展を開催いたします。東京藝術大学の工芸科で鋳金を学んだのちに英国王立芸術大学院の彫刻科を修了した宮崎は『The Independent』紙への掲載や、ロンドン市街地に彫刻作品を1年間展示するアートプロジェクト「Sculpture in the City London」への選出などを経て注目を集めています。

宮崎の近作の特徴は、自動車のパーツ、滑らかなブロンズ、そして細密な手業によって加工された紙やフェルトといった、異質な素材たちの融合にあります。時に彫刻は鉄道の発車メロディーやスーパーマーケットのBGMを発する音響システムを内蔵し、視覚と聴覚の両面から私たちを揺さぶります。アクロバティックな調和のもとに生み出されるその造形美は、私たちの五感を鮮烈に刺激するとともに、内包する多義的なコンセプトによって、現代社会の抱える複雑な問題を投げかけます。

今回の個展で彼が主題として取り上げるのは“バベルの塔”。「神は塔を建てる人間に怒り、人々の言語を分断した」という神話的なエピソードで知られるモチーフに、コスモポリタニズムやその反動ともいえる極端なナショナリズムが進行する一部の現代社会の状況を、宮崎は重ね見るそうです。“現実と幻想”“世俗性と崇高性”といった相反的要素の混成体としての機能をアートに見出す彼は、自らの作品によって現代における一種の浄化や創造性の回復を目指します。本展では、バベルの塔をモチーフにした5メートル級の作品を軸に、宮崎啓太の最新作を展示いたします。

[レセプション&トーク]
11月18日(金)18:00 –
トークゲスト:筧菜奈子 氏