paintingofmarble EXHIBITION

石黒昭 “大理石絵画 / Painting of Marble”

2017年4月7日(金) – 5月6日(土)

[オープニングレセプション] 4月7日(金)18:00 –
[火 – 土] 11:00 – 19:00
[日・月・および4月29日(土)] 休廊

[入場] 無料

協力:nca | nichido contemporary art


石黒昭はこれまで、19世紀のアカデミズム絵画の登場人物を2次元のキャラクターに置き換えた“A Steganographic Romance”や、大理石の表層を絵画とし て極めてリアルに再現する“GRAVITATIONAL FIELD”などのシリーズを通して、“本物とまがい物”、“虚と実”について考察してきました。これらのシリーズで は、“本物”である既存の古典絵画や天然石に対置する“フェイク”として作品が提示されます。再現性への徹底したこだわりから見て取れる“本物”に対するリスペクトは、それが安易なパロディであることを否定し、あえて明確にされた二項対立の構図は、彼の試みが単なるサンプリングや流用とは異なる、周到に設定されたものであることを示しています。彼の“まがい物”が持つ、鋭い観察眼と技巧、膨大な手仕事に裏打ちされた強度を前に、我々鑑賞者の意識は、虚と実の間を行き来しながら、我々が持つ“本物”という概念の不確実さにあらためて気付かされることになるのです。

本展では、“GRAVITATIONAL FIELD”の未発表大型作品とともに、その発展形といえる、“Marblesque(マーブレスク)”と題されたシリーズの新作を発表します。前者が大理石の表層の精密な模倣を目指したのに対し、後者では、作家自身の中でうごめく創造への欲求やエネルギーを表現することが意図されています。物質的な外見を画面上に再現することと、作家の創造の源泉を抽象画として表現することはまさに対照的ですが、表と裏の関係にある二つの シリーズを同じ空間に展示することで、石黒が追求する“虚実のねじれの狭間”におけるぎりぎりの表現の姿が浮かび上がることになります。また、双方に共通して用いられている自然の造形美を再現する作画法は、長年にわたりFaux Finishing(大理石模造技法)の職人として活躍した作家の経験によって醸成されたものです。それは制作プロセスの核心であると同時に、 創造の思想的な土台としても機能し、虚実皮膜の追求とともに、石黒の作品世界の重要な構成要素となっています。


大理石で覆われた建造物は今日に於いても冨や権力を演出し、それらはローマ帝国時代からの繁栄の指標として伝播した姿を連想させます。そして大理石 が装飾として用いられていく過程でフェイク=Faux Finishing として描く文化がヨーロッパで普及し、19世紀に入ると新古典主義の時代に大きな復興と発展 を遂げました。私が見たそれはリアリズムやダイナミズムなど地域によってスタイルがあるものの、いずれもフェイクでありながら核心を突いた表現として見えました。そして私は大理石を絵画として意識して描くことを通して「虚の中の真実とは何か?」という考察を試みました。

天地自然の森羅万象を内包した自然の断片を遠近法のない風景画として、本物と見紛うほど精緻に描かれた「GRAVITATIONAL FIELD」は大理石のフェイクでありながらも本物の質感を探求した姿である。

また、それとは対極的に発展した表層を持つ「Marblesque」は大理石の生成過程と自身の熱量の流動を定着させることでキャンバスの上で変成をとげていく艶かしい感覚や創造のリアリティを掛け合わせた「熱による変成作用」をモチーフとした心象風景としての絵画表現にも踏み込んでいます。

大理石をずっと眺める。そこには自然の造形美があり、「自然の法則を抽出した線」を写経のように写し取りキャンバスを埋めていく過程で自分の創造性とは 無関係に意図しない変成が繰り返される。これが自分にとっての抽象表現です。

石黒 昭

03 3月 石黒昭 “大理石絵画 / Painting of Marble”

2017年4月7日(金) – 5月6日(土)

[オープニングレセプション] 4月7日(金)18:00 –
[火 – 土] 11:00 – 19:00
[日・月・および4月29日(土)] 休廊

[入場] 無料

協力:nca | nichido contemporary art


石黒昭はこれまで、19世紀のアカデミズム絵画の登場人物を2次元のキャラクターに置き換えた“A Steganographic Romance”や、大理石の表層を絵画とし て極めてリアルに再現する“GRAVITATIONAL FIELD”などのシリーズを通して、“本物とまがい物”、“虚と実”について考察してきました。これらのシリーズで は、“本物”である既存の古典絵画や天然石に対置する“フェイク”として作品が提示されます。再現性への徹底したこだわりから見て取れる“本物”に対するリスペクトは、それが安易なパロディであることを否定し、あえて明確にされた二項対立の構図は、彼の試みが単なるサンプリングや流用とは異なる、周到に設定されたものであることを示しています。彼の“まがい物”が持つ、鋭い観察眼と技巧、膨大な手仕事に裏打ちされた強度を前に、我々鑑賞者の意識は、虚と実の間を行き来しながら、我々が持つ“本物”という概念の不確実さにあらためて気付かされることになるのです。

本展では、“GRAVITATIONAL FIELD”の未発表大型作品とともに、その発展形といえる、“Marblesque(マーブレスク)”と題されたシリーズの新作を発表します。前者が大理石の表層の精密な模倣を目指したのに対し、後者では、作家自身の中でうごめく創造への欲求やエネルギーを表現することが意図されています。物質的な外見を画面上に再現することと、作家の創造の源泉を抽象画として表現することはまさに対照的ですが、表と裏の関係にある二つの シリーズを同じ空間に展示することで、石黒が追求する“虚実のねじれの狭間”におけるぎりぎりの表現の姿が浮かび上がることになります。また、双方に共通して用いられている自然の造形美を再現する作画法は、長年にわたりFaux Finishing(大理石模造技法)の職人として活躍した作家の経験によって醸成されたものです。それは制作プロセスの核心であると同時に、 創造の思想的な土台としても機能し、虚実皮膜の追求とともに、石黒の作品世界の重要な構成要素となっています。


大理石で覆われた建造物は今日に於いても冨や権力を演出し、それらはローマ帝国時代からの繁栄の指標として伝播した姿を連想させます。そして大理石 が装飾として用いられていく過程でフェイク=Faux Finishing として描く文化がヨーロッパで普及し、19世紀に入ると新古典主義の時代に大きな復興と発展 を遂げました。私が見たそれはリアリズムやダイナミズムなど地域によってスタイルがあるものの、いずれもフェイクでありながら核心を突いた表現として見えました。そして私は大理石を絵画として意識して描くことを通して「虚の中の真実とは何か?」という考察を試みました。

天地自然の森羅万象を内包した自然の断片を遠近法のない風景画として、本物と見紛うほど精緻に描かれた「GRAVITATIONAL FIELD」は大理石のフェイクでありながらも本物の質感を探求した姿である。

また、それとは対極的に発展した表層を持つ「Marblesque」は大理石の生成過程と自身の熱量の流動を定着させることでキャンバスの上で変成をとげていく艶かしい感覚や創造のリアリティを掛け合わせた「熱による変成作用」をモチーフとした心象風景としての絵画表現にも踏み込んでいます。

大理石をずっと眺める。そこには自然の造形美があり、「自然の法則を抽出した線」を写経のように写し取りキャンバスを埋めていく過程で自分の創造性とは 無関係に意図しない変成が繰り返される。これが自分にとっての抽象表現です。

石黒 昭